参照:Y2KGoogle検索結果・TheRowFW・TotemeFW
高級感のある素材とカラー、ディテールでさりげなく「リッチ」を漂わせる「クワイエット・ラグジュアリー」に「ロゴ」は必要ない
分かる人には分かる「ブランド」とどことなく漂う「ラグジュアリーな雰囲気」が「クワイエット・ラグジュアリー」の特徴です。このスタイルに ロゴでごった返した服は必要ない。人によってはそのブランドを身に纏う意味すら覆してしまうようなスタイルがこの「クワイエット・ラグジュアリー」なのです。TikTokでは、#QuietLuxuryが付いた投稿は約200万以上の再生数を記録し大きなトレンドとなっています。
過去3年、Y2Kトレンドが注目を集めました。しかし、実際には1990年から2000年初頭のファッショントレンドを指しており、現在はクワイエットラグジュアリートレンドが浮上中。
お気づきの通り、「クワイエット・ラグジュアリー」は何もファッションに限ったトレンドでは御座いません。このトレンドが急速に人気を集めている理由は、景気低迷、金融危機などが影響しています。 パンデミック襲来まではある意味「誇示型消費」の社会でした。自身の購入品をいろんな人に見てもらって、自らの富をアピールしたがる人々であふれていました。パンデミックが訪れ経済的な不確実性が到来。富の誇示が意味を成さない社会が到来し、「誇示型の消費」は徐々に収縮を始めました。それと同時に「良いものを長く使う」「誇示は意味をなさない」といった風潮が現れ始め、現在のトレンドまで成長したという背景です。さらに、現代の「持続可能性」といったキーワードもこのトレンドに対しては追い風であったようです。
ファッションの特徴としては、彩度の低い落ち着いた印象のニットやスーツをロゴのないボールキャップやスニーカーなどでカジュアルダウンし「質素な」雰囲気を表現するのが一般的です。。 知らない人から見れば平凡なコーディネートと捉えられるかもしれませんね。しかしそのブランドを見てみると「The Row(ザ・ロウ)」「Loro Piana(ロロ・ピアーナ)」などのラグジュアリーなものばかり。ブルーブラッドなどとも表現される長く続くお金持ちの家系 「オールドマネー」たちがこのトレンドと近しい存在だと表現されるのは、富の誇示の仕方が隠密で静かであることからだと言われています。
>> 「The Row(ザ・ロウ)」「Loro Piana(ロロ・ピアーナ)」などのブランドの他は?何があるのか?
「クワイエットラグジュアリー」とセレブ
参照:META・FACEBOOK記事写真
1. メタの最高経営責任者である”マーク・ザッカーバーグ“のクローゼットにいっぱいの灰色の半袖Tシャツは、一枚5万円の「ブルネロクチネリ」です。静かなラグジュアリーの分かりやすい代表例かなと思います。
2. スタイルアイコンと呼ばれる”ジャクリーン・ケネディ“や“ダイアナ皇太子妃”がこれまで慕われてきた理由も、「クワイエット・ラグジュアリー」をうまく活用したからでしょう。 ロゴのないアクセサリーと軽くて品質の高いコートを合わせて、上品な雰囲気を表現したそのファッションセンスは今見ても新鮮な素晴らしいスタイルだと思います。
参照:ソフィア・コッポラinstagram
3. 映画「ゴッドファーザー」の監督フランシス・コッポラの娘“ソフィア・コッポラ”は「クワイエット・ラグジュアリー」の天才と称されています。、彼女のスタイルを見ていくと、ネイビーカラーがこんなにも気品あふれるカラーだったとはと驚かされます。 ネイビーカラーニットにホワイトパンツを合わせたり、ネイビーカラーのミニワンピースにバレリーナシューズを合わせたりするなど、一般人のクローゼットにもありそうなアイテムをとても上品に着こなしている事が見て取れます。
「クワイエット・ラグジュアリー」ってトレンド?いや、もはやジャンル!
実は「クワイエット・ラグジュアリー」は「Y2K」のような「トレンド」とは似ているようで違う性質を持っています。 「クワイエット・ラグジュアリー」のような雰囲気をテーマにしたブランドは昔から存在していました。つまり、古くから存在していた「ジャンル」がパンデミックなどの社会情勢によって「注目されている」という状況が「クワイエット・ラグジュアリー」が流行している真意だと思います。 「クワイエット・ラグジュアリー」によって再注目されるようになったブランドをいくつか見てみましょう。「The Row (ザ・ロウ)」のデザイナーであるオルソン姉妹は最初からブランドのアイデンティティを「クワイエット・ラグジュアリー」に定めていましたし、「JIL SANDER (ジル・サンダー)」は長年ミニマリズムとモダンのムードを纏ったクリーンなルックを披露し続け、ミニマリズムのアイコンになりました。 スウェーデンのブランド「toteme (トーテム)」やニューヨークの「Kate (ケイト)」、「Bottega Veneta (ボッテガ・ヴェネタ)」も高級感のある素材と構造的なデザイン、洗練されたシルエットで「クワイエット・ラグジュアリー」を表現し続けてきました。。
参照:「ザ・ロウ」2023-24年秋冬コレクション
参照:「ボッテガ・ヴェネタ」2023-24年秋冬コレクション GIOVANNI GIANNONI
「クワイエット・ラグジュアリー」は先述したラグジュアリーブランドでなくても十分に試せるスタイルです。まずは大きなロゴが付いているアイテムを避け、シンプルなデザインにニュートラルやモノトーンカラーアイテムを選んでみてください。 そして大事な要素が「素材感」です。カラーとデザインがきれいでも安っぽく見えるような素材感だと「クワイエット・ラグジュアリー」を表現することは出来ません。
「クワイエット・ラグジュアリー」は良いものを長く使うという意識的なトレンドでもあるので、意識の面から変えてみるとファッションだけではなくあなた自身の内面から「クワイエット・ラグジュアリー」な雰囲気を演出できるのでは無いでしょうか??
このトレンドを機に「トレンドに左右される安価な商品」ではなく「長く使えるちょっと高級な商品」の購入をご検討してみてはいかがでしょうか??